大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)5688号 判決

原判決がその引用する昭和二十六年十月二十六日附起訴状記載の公訴事実中第六、被告人が昭和二十六年八月十四日頃静岡県三島市六反田二千四百二十番地写真商池谷英裕方において同人に対し、買受又は返済の意思がないのに恰もこれあるものゝ如く装い、二万円位のカメラを買い度いから見せてくれと申込み、シツクス写真機九千五百円相当を提出したところ、家へ行つて相談してくるから一寸貸して呉れ、自転車を置いて行くからと申欺き、同人をしてその旨誤信せしめ、同人よりその所有の写真機一台を交付せしめて騙取した。との詐欺の事実の証拠として挙示する鈴木信司の司法警察員に対する供述調書に依ると、被告人が前同日右池谷英裕方において右のように申欺いて右写真機一台を交付させた相手方は、右池谷方店舖にいた店員鈴木信司であることを認めることができるので、原判決が、被告人の欺罔した相手方を池谷英裕と判示しながら、その証拠として鈴木信司の司法警察員に対する供述調書を挙示しているのは、一応所論のように理由を附さないか、又は理由にくいちがいがあるものと見られないわけではないが、もともと鈴木信司は右のように池谷英裕方の店員であり、同人の補助者として客を装つた被告人に応待し、池谷所有の写真機一台を被告人に交付して騙取されたものであるから、被告人の欺罔した相手方を、店主である池谷英裕と判示しても、店員である鈴木信司を判示しても、写真商の営業従事者を欺罔した点においては、彼之異なるところがないものと認められるのである。従つて原判決の判示事実と、援用証拠との間の右のような瑕瑾は、これを以て原判決を破棄するに足る理由不備又は理由のくいちがいとすべきものではないから論旨は結局理由がない。

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